米中貿易協議の一里塚となる合意で、世界経済の問題を解決できるのだろうか。有り難いことに、貿易合意で解決する必要はないのかもしれない。投資家は相反する現象に直面している。株式市場は1月に入りこれまで、新年へ向けた楽観論で満ちている。一方、経済指標はそれほど改善していない。ドイツは15日、2019年の経済成長が6年ぶりの低水準になったと発表した。その2日前に発表された11月の英国内総生産(GDP)は予想外に減少し、イングランド銀行(英中銀)が今月の会合で利下げに動くとの観測が広がった。10日に発表された米雇用統計も、エコノミスト予想を下回った。その半面、市場では唐突な景気回復が織り込まれている。アナリストはS&P500種企業の2020年1-3月期の利益が前年同期比5%増になると予想。その後も伸びが加速するとみている。19年7-9月期は減益となったうえ、10-12月期も減益が見込まれている。