ドナルド・トランプ米大統領は2018年1月、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席し、「『米国第一』は『米国単独』を意味してはいない」と語り、聴衆を安心させた。それから2年後、世界はこれが一体何を意味するのか、理解しつつある。米国は過去数カ月、シリア北部から駐留米軍の大半を撤収し、中国に(おそらく他国を犠牲にして)米国産品の輸入拡大を確約させるとともに、世界貿易機関(WTO)の判事である上級委員の任命を阻止し、WTOの紛争処理の裁定機能をまひさせた。米国はまた、イラン先鋭部隊の司令官を暗殺。メキシコとカナダとの間で新たな貿易協定を締結したほか、日本とも限定的な貿易協定を結んだ。米国は孤立主義ではなく、単独行動主義へと変容しつつある。狭義の利益を優先し、レバレッジ(交渉における相対的優位性)を最大限活用するよう、交戦規定を書き換えているのだ。他の国・地域や企業、投資家は、米国が国際舞台ではもはや審判役ではなく、選手の1人(しかも最大かつ最も攻撃的)として振る舞う状況に適応しなければならない。
トランプ氏の「米国第一主義」 その真の意味とは
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