2003年の創業より9年間にわたり、日本と中国の製造メーカー間のビジネスマッチングを支援しているファクトリーネットワークアジアの井上直樹董事長に話を聞いた。
ついに重い腰を上げた
中国へ向かう日本の部品メーカー
――日系の部品・機械メーカーの中国進出は、最近も増えているのでしょうか?
中国ローカルメーカー(以降、現地メーカー)への販売を狙った日系メーカーの進出が、最近、また増えています。2003年頃の中国進出ブームの際にはまだ出てきていなかった日系メーカーも、リーマンショック、円高、東日本大震災などを経験し、このままではダメだと重い腰を上げ、最後のチャンスにかける意味で進出しているのだと思います。また、既に中国に進出している日系メーカーも、現地で作ったものは現地で販売しようと中国内販に力を入れ始めています。
ただ中国市場攻略は、そう簡単ではありません。近年、現地メーカーが作る製品の品質が上がっているからです。現地メーカーでも作れる部品・製品分野で中国に進出する日系製造メーカーにとっては、品質がたいして変わらないのに、コスト競争力で圧倒されることになるため、中国ではかなり厳しい戦いを強いられるでしょう。
一方で、それと並行して、現地メーカーは高品質の部品・製品を購入するケースも増えているので、日系製造メーカーにとってチャンスが拡大している分野もあります。
――どのような日系メーカーであれば、中国市場でも成功すると思いますか?
当たり前かもしれませんが、日本でもシェアが高い製造メーカーです。ニッチなエリアで高付加価値製品を作っていて、中国どころか世界で競合を圧倒する企業です。そういう製造メーカーは儲かっていて資金力があります。逆に日本での事業が厳しくなっているから、中国市場にかけるしかないというような製造メーカーは中国でもうまくいかない可能性が高いと思います。
ニッチな市場とはいえ中国は日本に比べ圧倒的な市場規模がありますから、十分魅力的な市場になると思います。また、日本よりも競争が少ないケースも多いので、利益も多く取れるでしょう。一旦、中国の高付加価値ニッチ市場開拓がうまくいけば、次はブランド力を生かしてもう少し下の(現地メーカーと競争になる)ボリュームゾーンでも勝負できるかもしれませんし、今度はASEANに進出することも可能です。またその実績を活用して中国企業との資本提携や買収も視野にいれることが可能になります。