カルビーが中国進出に動きだした。中国食品大手の康師傅(カンシーフ)と、伊藤忠商事と合弁で「今年度中に『かっぱえびせん』や『サッポロポテト』などの販売を開始する」(林康秀・カルビー執行役員)。
日本の塩味系菓子市場で圧倒的なシェアを誇るカルビーに、康師傅の寄せる期待は大きい。同社グループはこれまで外資系企業との提携に、50%超の出資で主導権を握ってきたが、今回は「優れた技術を持つカルビーに主導してもらいたい」(魏應州・康師傅董事長)と、51%の出資比率を渡している。「ポテトチップスなどの技術が最大の魅力」(魏董事長)と、会見の壇上でも何度も繰り返した。
だが、本命の「ポテトチップス」の投入には、「3年はかかる」(松本晃・カルビー会長)もようだ。「中国は今、横流しが横行するほどバレイショが不足している」(山村裕・伊藤忠商事生鮮食材部門長代行)ため、商品そのものといえる原料がすぐには確保できないのだ。
ジャガイモは防疫の観点から輸入が禁止されているため、国内生産するほかない。原料調達を担う伊藤忠は「秋までに現地のパートナーを選定、農業団体と信頼関係を築きながら、一から栽培を行う」(山村部門長代行)予定だ。
ただ、現地ではポテトチップスを製造する外資系メーカーの契約農家のジャガイモが、そっくりそのまま他のメーカーに高値で売られるトラブルも起きている。生産者売価も1キログラム当たり約30円と、日本とほぼ同じ価格につり上がっている。
「ポテトチップスはバレイショの調達がカギ」と松本会長は明言する。カルビーブランド定着もまた、ジャガイモの安定調達が生命線となりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 脇田まや)