昨今の自動車市場では「大きいことはいいことだ」とはやされている。だが株式市場の自動車銘柄となると、話はもっと複雑だ。テスラの時価総額は1000億ドル(約11兆円)の大台を駆け抜けた。トヨタ自動車に比べればまだ半分以下だが、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)を抜き、米市場シェアでトップに立つゼネラル・モーターズ(GM)の倍に達した。企業価値ではVWがなおテスラを上回る。企業価値には資本構成の違いが反映されるため、比重の目安としてはより優れている。ただ、どちらで計算したとしても、売上高などファンダメンタルズに比べたバリュエーションギャップは衝撃的だ。欧州と中国の規制が主な要因となって、電気自動車(EV)が従来型自動車に取って代わることから、投資家は規模をそれほど重視していないと結論付ける向きもあるかもしれない。現実はさらに入り組んでいる。業界の技術革新が進む中、既存の自動車メーカーにとって規模の大きさは利点にも足かせにもなる。こうした固有の不確実性は、投資家が株買いをためらう理由の1つとなっている。
テスラ、本当にVWより「大きい」のか
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