先週ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会の参加者らは、二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの未来への道は、金融システムにかかっているという主張を何度も聞かされた。グリーンピースは「銀行、保険会社、年金基金などは、環境の危機について、化石燃料業界と同様の罪に問われる」と批判。スウェーデンの十代の環境問題活動家、グレタ・トゥンベリさんは「化石燃料から即座に、そして完全に投資を引き揚げるべきだ」と要求した。確かに、環境意識の高い銀行家や投資家らは、石炭およびカナダのオイルサンド、北極圏での掘削などを敬遠することで、あわてて歴史上の正義の側に回ろうとしている。しかし、こうした魅力的に見える象徴的行動にもかかわらず、投資引き揚げが化石燃料業界の縮小をもたらすことはない。資本と石油の2つは、世界で最も代替可能な商品だ。1つの資金源、例えば銀行融資を枯渇させても、他の資金源が空白を埋める。地中の石油層、ガス層のうち1カ所の開発を見送っても、開発できる場所はほかにたくさんある。