サヴォイア氏は、第一に、アイデアを具体的な仮説に落とし込むことの重要性を強調。本書では、そのための「XYZ仮説」を紹介している。
XYZ仮説では、「少なくともX%のYはZする」という仮説を立てる。
例えば、「コインランドリーユーザー向けに、洗濯物を集配するサービスを提供する」というアイデアがあったとする。
これを「コインランドリーで洗濯する人(Y)の、少なくとも10%(X)は、洗濯物を取りにきて24時間以内に洗って返してくれるサービスを、5ドル払って利用する(Z)だろう」というように仮説を立てる。これがXYZ仮説だ。
私も早速やってみよう。冒頭の「軽井沢でリゾート菜園を始める」というアイデアをXYZ仮説にしてみる。
「軽井沢に週末や休日に訪れる人(Y)の、少なくとも5%(X)は、農園管理代行付きのリゾート菜園を1区画30平米あたり月5000円払って利用する(Z)だろう」ではどうだろうか。
こうしてアイデアを具体的な数値を使った仮説にしてみると、X、Y、Zのそれぞれをあれこれいじってみたくなる。
例えば、Yの範囲が広すぎるので、「休日に農産物直売所で野菜を買う人」と限定してはどうだろう。その場合のXは5%よりも多めの10%でもいいかもしれない……。このように検討していくと、仮説がより現実的になっていく。
商品を作った“ふりをする”検証手法
XYZ仮説を確定できたら、次はこの仮説を検証すべく、データを集めるステップに入る。
データ収集には市場調査が行われることが多いが、サヴォイア氏は、もっとコストと時間がかからない方法を紹介している。同氏が「プレトタイピング」と名づけた方法だ。
開発中の製品やサービスを試作し、市場に投入してみることを「プロトタイピング」というが、プレトタイピングは、その前段階で行うもの。本物の試作や試行をするのではなく、“ふりをする”のが特徴だ。
例えば本書には「ニセの玄関」型のプレトタイピングが例示されている。広告やウェブサイト、パンフレット、実際の店頭などといった「ニセの玄関」を設けて、その製品やサービスが実在するかのようなフリをするというものだ。