低金利時代なのに「利回り10%」!オルタナティブ・ファンディングの光と影Photo:PIXTA

専業の新規上場企業の初値が公募価格を75%上回る

 2019年12月11日に、インターネットを通じて広く資金を集めるクラウド・ファンディングの「マクアケ」がマザーズ上場を果たした。初値は公募価格1500円を75%上回る2710円と、まさに好調な“幕開け”となった。

 デンマーク国立銀行が12年7月に世界で初めて政策金利を実質マイナスに引き下げてから7年半。低金利であふれ出したマネーの行き先の一つがこうした「オルタナティブ・ファンディング」だ。

 主なものとしてネットを通じて個人から資金を集めるクラウド・ファンディングや個人間で資金の貸し借りをするP2P(ピア・トゥー・ピア)、少し前にはやったICO(イニシャル・コイン・オファリング、仮想通貨を発行し、それを購入してもらうことによる資金調達)などがある。

 市場規模は45兆円と世界の金融市場全体にくらべればまだ微々たるものだが、伸び率は世界の金融機関の与信が年率約2%なのに対し、オルタナティブ・ファンディングは商品ごとにばらつきはあるものの、年率10~60%となっている。

 現在、市場の85%を中国が占めているが、最近は、それ以外の地域の成長が著しい。たとえば、英国のオルタナティブ・ファンディング市場は年率30%の伸びを続けている。

 日本でも不動産関連のクラウド・ファンディングが活発化しており、先月募集された原宿のマンション投資ファンドは年間利回り4.56%で、応募額は募集の4倍以上となった。最近の案件は、このように抽選が当たり前という人気ぶりだ。