中国発の新型肺炎に、電機産業も“感染”し始めた。米アップルがサプライチェーンの停滞などを理由に、業績の下方修正を発表。業界の最大口需要家の業績悪化は、世界の電機・電子メーカーにもドミノ倒しのように広がる。感染拡大が収まっても業界は元には戻らない。新型肺炎は、既に始まっていた変化を急加速させているのだ。特集『断絶!電機サプライチェーン』は2月25日(火)から29日(土)まで、全8回でレポートする。
#1 2月25日(火)配信
AirPods危機!新型肺炎でアップルの超ヒット商品が入手困難になる理由
「在庫がない!」「いつになったら買えるのか」――。米アップルのワイヤレスイヤホン、AirPods Proは昨秋の発売以来、人気沸騰で入手困難な状態が続く。幸運にも在庫に巡り合ったなら、迷わず購入した方がいいかもしれない。中国発の新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)の影響で、この製品のサプライチェーンに大きな混乱が生じているのだ。
#2 2月25日(火)配信
アップル新型肺炎で苦境、「最強調達戦略」はここまで中国に依存していた
山高ければ、谷もまた深し。新型肺炎は電機のサプライチェーンを寸断させているが、特に大きな痛手を被っているのは米アップルだ。ガリバー企業になってもなおとどまらない躍進は、中国に大きく依存した最強調達戦略が支えていたからだ。アップルが直面している問題が分かれば、電機産業の「変化の本質」も理解できる。
#3 2月26日(水)配信
中国・深セン「機能停止」の実態ルポ、新型肺炎・米中摩擦・香港デモに泣く
「中国撤退のいい口実。そう思っている経営者もいるだろう」。記者が飛んだ中国・深センでは、そんな声が聞こえた。電機のグローバル・サプライチェーンを支えるこの都市は、昨年から受難の連続。現地日系企業も翻弄されてきた。そして新型肺炎は、手負いの日系企業にとどめを刺す最後の一撃になりかねない。
#4 2月26日(水)配信
新型肺炎を「こじらせる」企業はどこか?電機主要各社の重症度を総点検
米アップルが泣き、韓国サムスン電子が笑う? 中国発の新型肺炎は世界の産業界に大きな打撃を与えるが、その度合いには企業によって濃淡がある。最終製品ブランド、部品・部材メーカー、組み立て受託業の三つの角度から、重要企業の受けた打撃を総点検する。
#5 2月27日(木)配信
ドキュメント新型肺炎(上)、深センの日本人経営者が見た「終わらない旧正月」
新型肺炎の影響は、感染源とされる湖北省から遠く南の「エレクトロニクスの都」をも直撃していた。春節(旧正月)休暇の再度の延期に続き、企業の操業再開に突き付けられる高いハードル――。「終わらない春節休み」を終わらせ、日常を取り戻すため、サムライ経営者が立ち上がった。
#6 2月27日(木)配信
新型肺炎危機の「本質」、台湾の“千里眼”アナリスト集団が鳴らす警鐘
新型肺炎によるサプライチェーンの混乱は、日本企業にとっては「五里霧中」の状態だ。多くの日本メーカーは部品・部材の供給者でしかなく、産業全体を一気通貫で見通すことが難しいからだ。業界各社が圧倒的な信頼を寄せる台湾の頭脳集団が、危機の本質を明かす。
#7 2月28日(金)配信
ドキュメント新型肺炎(下)、深センの日本人経営者が挑んだ「従業員奪還作戦」
「村から出られないんです」。帰省した従業員が、受話器の向こうで悲鳴を上げた。新型肺炎が拡大する中国では、人の移動を禁じる「封閉式管理」が広がる。各地の帰省先に閉じ込められた従業員を奪還すべく、サムライ経営者はあっと驚く救出作戦を立案した。
#8 2月29日(土)配信
「緊急事態」に企業財務を守る方法、元ソニーの名金庫番に聞く
新型肺炎クライシスで電機業界各社が直面しているのは、サプライチェーン断絶による販売の急減と、生産ライン稼働率の急落だ。これは企業の業績を即座に直撃し、さらに長期的な財務問題を招かないよう警戒を要する事態だ。この局面で、企業の金庫番はどう動くべきか。リーマンショック当時のソニーでCFO(最高財務責任者)を務めた大根田伸行氏に、危機の連鎖の乗り切り方を聞いた。
Key Visual by Noriyo Shinoda