約半数はすでに「本選考を受けた」
3月中旬から選考開始が最多に
3月1日、経団連の「就活ルール」がなくなって、初めての“就活解禁日”を迎えた。今年からは政府の主導によって従来の就活ルールが維持されることになったが、いよいよ2021年卒学生向けの採用情報がオープンになり、エントリーシートの受付も始まる。
そんな中で大きな問題となっているのが、新型肺炎だ。政府からのイベント自粛要請を受け、リクナビやマイナビなどが合同説明会を中止するなど、今日から本格化する就職活動への影響を懸念する声、不安が高まっている。しかし、現在、就職活動真っただ中だという慶應義塾大学3年の女子学生に話を聞くと、こう断言する。
「就職活動が3月1日に始まると思っている人なんて、1人もいませんよ」
彼女がこう語るのは、すでに多くの企業が選考(面接)、ひいては内定(内々定)出しを行っており、もはや就活は最終局面に向かっているからだ。
就職情報サイトの「キャリタス就活」を運営するディスコが行った調査によると、2月1日時点で「本選考を受けた」という2021年卒の学生は47.8%と前年より7.9ポイント増加。「内定を得た」人も10.0%と、前年同期(8.1%)を上回っている。
「『3月採用広報解禁、6月選考解禁』という日程ルールになって5年目。もともとルールの導入から年を追うごとに採用日程が早期化する傾向があり、さらに経団連指針の廃止が決まったことで、20年卒から採用日程を早めたケースは多かった。そして今年、実際に経団連の指針が廃止され、政府主導のルールになったことで、より早期化が進んでいる」(ディスコ キャリタスサーチ上席研究員の武井房子氏)
同じくディスコが企業を対象に行った調査によると、21年卒採用について面接の開始が最も多いのは3月中旬(17.0%)。前年は3月下旬が最多(15.9%)だったため、開始のピークは10日ほど早まっていることがわかる。6月選考解禁は、もはや形骸化しているのだ。
経団連の指針が廃止されて1年目の今年、就職・採用の活動の実態を探っていくと、企業規模などによって、早期化がやむを得ない「それぞれの事情」が見えてきた。
中小・ベンチャーは9月から開始も
「学生と社長のマッチング」で早期採用へ
昨年9月25日、JR大崎駅近くの会場に約50人の2021年卒学生と、ベンチャーや中小企業6社の社長や役員が集まっていた。学生はベンチャー志向であったり、早期選考に関心があったりする人ばかりだ。