インターンで就活トップ学生を“青田刈り”
メガベンチャーの採用早期化事情
「インターンシップは、就活トップ学生の採用が目的です」
はっきりとこう語るのは、ITや人材サービスを展開するメガベンチャー企業のレバレジーズの藤本直也・執行役員だ。同社は2021年卒学生に対し、2年生の3月からインターンシップのエントリーを開始。100人の学生が7月~9月に行われた3日間のプログラムに参加した。なんと100人の枠に6000人がエントリーし、本選考より倍率が高いという。
「インターン参加者の6~7割に声をかけて、さらにそのうちの約3割が入社する」(藤本氏)というが、一体どのようにして、内定へと学生を導くのか。藤本氏は、いくつか重要なポイントがあると語る。
その1つ目が、「インターンのためのインターンをしない」こと。インターンシップでは、そのためのプログラムを考えて、学生とグループワークをするケースが多い。しかし同社で取り組むのは、実際にある「赤字事業をどう黒字転換させるか」などのプログラム。しかも、一緒に取り組むメンターは同社の25歳前後のエース級ばかりで、学生は「この人と一緒に仕事をしてみたい」「自分も若くして活躍できるかも」という気持ちになってくるという。そうして、「入社してもいい会社」と思ってもらうことがカギになる。
インターン終了後のケアも重要なポイントだ。食事などを通して、月に1回は必ず接触を心がける。そして、内定後に辞退されるのは人事担当者として最も避けたいところ。そこで同社はあえて「大手企業も見たのか」など、さまざまな企業も視野に入れることを勧める。そのうえで、それでもレバレジーズに入社したいという決意の固さが見られたら、初めて内定を出すようにしているという。
そんな同社は、もちろんインターン経由のみならず、本選考でも採用を行っている。2020年卒については3年生の10月後半から採用面接を行ったが、2021年卒は9月初めから開始。内定のピークは2月~4月になる予定だ。
「実は2022年卒(現在2年生)については、インターンシップの開始時期も現在よりも早める予定で、すでに1月からエントリーを開始しています。というのも、外資系企業のインターンシップの時期がさらに早まっているからです」(藤本氏)
外資系コンサルティングファームなどは、3年生の夏までにインターンシップを実施し、そこで採用を行ってしまう企業が多い。そうした企業が就活トップ学生にアプローチする前に、自社の印象を与えることが重要だという。