親は知らず知らず
子の視野を狭めてしまう
──就活生や、今後のキャリアをどうしようか考えている人に、アドバイスをいただけますか。
自分の強みは何なのか、それを生かせる領域はどこなのか。そのためにどんな職能を選んでどの会社に入ればいいのか。それを自分で考えていくのが就活です。そこは逃げずにとことん考えてほしい。それさえやっていれば大丈夫。就活がうまくいかなくても何とかなります。そんなことで人生は決まりません。
考えるプロセス自体に意味があるんです。この先どんな道を選ぶにしても、「あのとき考えに考えた」という事実が、踏み出す一歩一歩の自信に変わっていきます。
自分は何者なのか。どうなりたいのか。これまでの人生で、そんなことを考える機会はほとんどなかったはずです。ですからこの際、精一杯悩んでほしい。悩んだ分だけ必ず高く飛べるはずです。
悩んでいる人を見ると、私なんか「あぁ、いいなあ」と思います。私くらいの年齢になると、いろいろな責任とかしがらみとかがあって、今から選べることはそんなに多くない。選べることって悩みもあるかもしれないけど、素敵ですよね。若さの特権だと思います。
──ご自身のお子さんが就活をしていたとき、どんなことに注意しましたか。
結局、選ぶのは子ども自身なんです。ですから、親は子どもの選択肢を狭めない方がいい。親は知らず知らずのうちに自分が望む方向に子どものパースペクティブ(自分が認識できる世界、視野の広さ)を閉じていく傾向があるんですけど、そうではなくて逆に広げてあげるのが親の役目です。
もし子どもが悩んでいるようであれば、どういうところに就職した方がいいと言うのではなく、こういう強みをあなたは持っているよ、こういうところが素敵だよ、と伝えてあげてほしい。
私も長女の就活のときは本当にしんどかった。顔を合わせるたびに何か言いたくなるところをじっと我慢しました。あと3人の子どもがいるので、まだまだ親の気苦労は続きそうです。皆さん、一緒に悩みましょう。
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