また、4月の調査(4月10日~12日)直前の4月7日には、7都府県に対して緊急事態宣言が発令された。その後、4月16日には、宣言対象地域が全国へと拡大された。では、この緊急事態宣言により、テレワークは進むだろうか。

 そもそも「テレワークを実施していること」と、「完全に出社しないこと」は異なる。接触を防ぐ目的に照らせば、一部の業務がテレワークで行えても、出社してしまえば、必然的に人との接触頻度は増えてしまう。調査データから、先に対象となった東京・大阪など7都府県における「出社」率を見ることで、緊急事態宣言の効果を見てみよう。

 7日夜に7都府県に対して緊急事態宣言が出された翌日、8日水曜日の出社率がマイナス6.2ポイントと最も大きい減少幅だった。それ以降はマイナス2.8ポイント、マイナス0.5ポイントと、あまり減少していない。つまり、出社率で見れば、それほど大きな変化がない、という実態が明らかになる。要因はいくつも考えられるが、すでに東京などでは緊急事態宣言が予想されており、テレワークを行う気がある企業はすでにテレワークに移行していたということがあるだろう。

 次ページでは、テレワーク実施率を都道府県別に見てみよう。このデータを見ると、緊急事態宣言が最初に発出された都府県は、他地域と比較してテレワーク実施率が高い。また、これらの都府県では、3月調査時と比較してもその実施率が増加している。厳密に見るにはサンプル数に限界はあるが、最上位になった東京都と最下位となった山口県は10倍以上の差が開いている。