世界最大のクルーズ船運航会社である米カーニバルは3月半ば、ハゲタカに取り囲まれていた。新型コロナウイルスの感染拡大で事実上休業を余儀なくされ、早急に多額の資金を必要としていた。金融市場が凍りついてしまったため、幹部はヘッジファンドのグループから高い金利で借り入れることを検討せざるを得なくなった。このグループは自身を「コンソーシアム」と呼んでいた。関係筋によるとこのグループにはアポロ・マネジメント・グループやエリオット・マネジメントなどが含まれていた。こうした投資会社は経営不振の企業の債券に投資し、融資先企業を買収することもある。だが3月23日に状況は一変した。米連邦準備制度理事会(FRB)が異例の貸し出しプログラムを導入し、債券市場の動揺を抑えた。その後数日の内に、カーニバルと契約しているJPモルガン・チェースは、アライアンス・バーンスタイン・ホールディングやバンガード・グループなどと協議を行った。4月1日までにカーニバルは債券市場で約60億ドル(約6450億円)を調達し、金利は幹部が少し前に検討していた調達方法よりもはるかに低くなった。