前回に続き、今回も「NYTの検索ページ」の有効な使い方を紹介しよう。
下の【表1】は、「縦に並んだ各項目」と「横に並んでいる国名」との「and検索」で得られるニューヨーク・タイムズの記事数(1981年以降[2008年6月4日時点])である(「and検索」は、複数のキーワード間にスペースを入れて検索すればよい)。たとえば、「Japan とtrade(貿易)のand 検索」では、22424件の記事がヒットする。最下欄の all には、国名だけで検索した場合の記事数を示す。一番右の欄の all には、その項目名だけで検索した場合の記事数を示す。
【表1】「and検索」で得られるNYTの記事数(1981年~2008年6月4日時点) |
経済、貿易、テクノロジーで、
アメリカはモンロー主義を貫けない
前回述べたのはアメリカ人の「国別関心の変化」だが、この表が示すのは「関心の内容」だ。いくつかの興味深い事実がわかる。
一番上の United States は、「アメリカ合衆国」のことである(注1)。これと Japan がともに現れる記事(45685件)は、日米関係に関するものと考えることができる。それは、United States が現れる記事全体(559422件)のなかで、約8%のウエイトを持つ。そして、Japan が現れる記事全体(80212件)のなかでは、約57%のウエイトを持つ。つまり、「アメリカ人が自国を考えたときに日本との関係において考える場合」は約8%しかないのだが、「日本を考えたときにアメリカとの関係において考える場合」は、少なくとも約57%あるということだ(注2)。きわめて大雑把に言えば、「自国中心的メンタリティ」である。ただし、これはアメリカに限ったものでなく、どの国でも同じだろう。
この傾向は、中国、ドイツとの間でもほぼ同じだ。しかし、中国の場合には、United States と China がともに現れる記事(37439件)は、United States の記事に対して6.7%のウエイトしかない。また、中国関係全体の記事(69938件)のなかでは、約54%のウエイトしかない。つまり、中国については、中国情勢そのものに関心が持たれるウエイトが(他国との比較で言えば)大きい、ということになる。