一足先に新型コロナウイルスの感染を押しとどめた中国や、台湾、韓国の半導体メーカーが日本での技術者の採用活動を活発化させている。『日本企業 緊急事態宣言』の#10では、「DRAM(データの一時記憶に使われる半導体メモリー)国産化計画」の遅れを取り戻そうと、3500万円もの年収を提示して人材獲得に躍起になっている中国の紫光集団の戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
旧エルピーダ坂本氏が代表
中国紫光集団グループ会社の採用活動
「『DRAM(データの一時記憶に使われる半導体メモリー)国産化計画』は中国政府から承認されたプロジェクトだ。新型コロナウイルスの影響により、技術者の採用活動は2~3カ月遅れたが、DRAM生産施設の2年後の稼働を目指して積極的に技術者を採用している」
中国半導体大手の紫光集団のグループ会社であり、DRAMの技術者を日本で採用するIDTの関係者はこう語り、コロナによる遅れの挽回に自信を見せる。
IDTは2019年12月に設立されたばかり。日本最後のDRAMメーカー、エルピーダメモリ元社長の坂本幸雄氏が代表取締役を務めている。ちなみに、エルピーダメモリは13年に米マイクロン・テクノロジーに買収されている。