診療報酬の改定、電子システム導入
薬剤師と患者のコミュニケーションが変わる

 まずは情報面。薬剤師は病院のカルテを見ることができなかったため、これまでは患者のお薬手帳から病状を推察しなければならなかった。しかし改定後、病院からの情報提供にインセンティブが付与されたことで、薬剤師が患者の状態を把握しやすくなった。また、抗がん剤治療や糖尿病などのリスクが高い患者に対しては、しっかりとフォローして状態を見守ることも強化された。要するに、薬剤師は患者とのコミュニケーション(対人業務)をより深めていくことが求められるようになったのである。

 しかし現実には、薬剤師が対人業務に時間を取りにくい状態にある。

 実は薬剤師の仕事は激務と言っていい。あまり知られてないが、患者が記入した問診表や服薬履歴を、その都度カルテに記録しなければならない。他にも、医師が出した処方箋が正しいかどうかを判断し、疑わしい点がある場合は医師に問い合わせる必要もある。これを「疑義照会」といい、疑問が生じた場合は医師に電話やFAXで確認しなければならない。調剤薬局は全国に約6万店あるが、年間2000万件を超す疑義照会が発生している。薬剤師は多大な時間を取られている状態だ。

 こういった薬剤師の業務負担を軽減しようと開発されたシステムがある。電子薬歴システムMusubi(ムスビ)だ。

薬剤師のための電子薬歴システム
Musubiとは?

 このシステムがどのように業務負担を軽減するか紹介しよう。

 まず、今まで患者対応とは切り離して行っていた、薬歴記入の手間が軽減される。店頭で患者に服薬指導をしながら、その場でタブレットPCをタップすれば、下書きが自動で作成されるのだ。患者と会話しながら薬歴をほぼ完成させることができる。一度入力すれば、患者一人ひとりの疾患、服薬中の薬、過去の服薬歴、生活状態が記録されるので、それらに応じた適切な指導を自動で提案できる仕組みになっている。従来の電子薬歴システムと違い、患者にタブレットを見せながらコミュニケーションも図れるため、患者が理解しやすくなっている。

この春、大きく変わった薬局!便利でお得な活用術とは?大阪の新千里薬局はMusubiを導入して以来、薬歴記録の時間が大幅に減少。丁寧な服薬指導ができるようになり、患者から喜ばれている 写真提供:新千里薬局

  大阪の千里ニュータウンで50年前から地域の健康を支えてきた「新千里薬局」はMusubiを導入した店舗のひとつだ。

「紙で管理していたときは薬歴がたまってしまい、店を閉めた後に数時間かけて仕上げることが多くありました。でもMusubiを導入してからは、書いた薬歴を他のスタッフにチェックしてもらう必要がなくなり、手間や時間が減りました。画面をお見せしながらの服薬指導は、『新しいやり方で良くなった』と、患者さんから喜んでもらえることが多いです」と導入の効果を話してくれた。

大阪・豊中市で4店舗を経営する「グリーンメディック」も変化を話す。

「以前は午前診と午後診の合間が『薬歴を記録する時間』になっていたのですが、Musubiが来てから180度変わりました。調剤をしたり、新人研修を入れたり、スタッフミーティングを行ったりしています。薬剤師としてのスキルアップやチームのコミュニケーションに時間を使えるようになりました」