FRB(米連邦準備制度理事会)は、新型肺炎感染拡大懸念で市場が大幅に混乱した3月から政策金利を実質ゼロに引き下げたが、そこから2カ月が経過しても米国では感染拡大の終了が見えてこない状況だ。

 経済再開を優先するトランプ政権の下、多くの州でロックダウン解除が始まっているが、2次感染拡大への懸念などもあり、景気の早期回復を見込む声は少ない。

 景気回復を支えるべく、FRBがゼロ金利政策を長期化させるのではないかとの思惑が強まる中、FF(フェデラルファンド)金利先物市場では年内の政策金利マイナス化が示唆され始めた。

 これを受け、パウエルFRB議長ほか当局者からは早期のマイナス金利政策導入に否定的な発言が相次いだが、トランプ大統領がマイナス金利導入に前向きなコメントを発するなど、当面マイナス金利政策の是非が議論されそうだ。

 マイナス金利政策はユーロ圏のECB(欧州中央銀行)が6年前に、日本銀行が4年前に導入しているが、欧州や日本でこれが導入された経緯を振り返れば、それぞれバブル経済崩壊後の自然利子率(均衡実質利子率)の低下傾向の中で、ゼロ金利政策が効果を及ぼしにくくなってきたとの見解がベースにあった。