新型コロナが直撃する
大学生活とその将来
緊急事態宣言は収束したが、コロナ禍の影響の全貌が明らかになるには、まだ時間がかかるだろう。最も大きな影響を受けている人々の類型の1つは、大学生や高校生をはじめとする学生たちだ。「自粛」でバイト収入を失い、2020年度前期の学費を支払う見通しもない学生たちの苦境に関しては、すでに多数の報道がある。
政府も各自治体も各教育機関も、見て見ないふりをしているわけではない。文科省は学びに関して、厚労省は生活に関して、それぞれ学生たちに支援の手を差し伸べている。たとえば厚労省は、求職者を対象とした生活困窮者自立支援制度の「住宅確保給付金」や社協の貸付を、学生も利用できるようにした。また、最大100万円を無利子で貸し付ける「学業資金貸付」を開始した明石市をはじめ、独自の支援策を実施している自治体も多い。
これらの支援は、もちろん大きな助けになるだろう。しかし、どうしても「焼け石に水」感は拭えない。たとえば住宅確保給付金は、最大で9カ月しか受給できないこととなっている。その後はどうなるのだろうか。
貧困の中で成長する子どもたちを支援してきた小河光治さん(公益社団法人「子どもの貧困対策センターあすのば」代表理事)は、次のように語る。
「新型コロナの影響は、弱い立場の人たちほど深刻です。切羽詰まるというか。辛い状況のなかで夢を抱いて大学に入った学生さん、もう少しで卒業だという学生さん……。彼ら、彼女らのことを思うと、本当に辛いです」(小河さん)
「あすのば」も小河さんも、経済的支援や政治への働きかけなど、ベストを尽くしている。それでも、状況の深刻さに対して、今すぐにできることが少なすぎるのだ。