コロナで倒産や廃業が増える理由は飲食店特有のビジネスモデルだ。要因は大きく二つある。

 1点目は、飲食店の手元の資金が少ないことだ。財務面での安定性を測る指標の一つとして、「手元流動性比率」という数字がある。これは、現預金や有価証券など換金性が高い資産を、月商の何カ月分程度保有しているかを表す指標である。

 日々キャッシュが入ってくる外食業界では、上場する外食企業であってもわずか0~1カ月程度しか持たないケースは多く、個人店では特にその傾向が強い。

「借り入れをしている金融機関から、資金の持ち方に関する指導は全くと言っていいほどない。また、税理士事務所ができるのは節税指導程度で、そうした指導が手元資金の少なさにつながっている」と、ある税理士事務所の職員は中小・個人の飲食店を取り巻く“裏事情”を明かす。

 手元に潤沢な資金を所持しない背景には、低収益性という側面もある。上場する外食企業の営業利益率は平均で約5%だが、中小企業や個人店では3%程度とされる。

 この利益率は海外の外食産業と比べて低い水準で、「『安くて、うまい』に日本人がすっかり慣れてしまっている証し。それ故、怖くて値上げができない」と、飲食店に予約システムを提供するテーブルチェックの谷口優氏は飲食店経営者の声を代弁する。

 ある飲食店経営者は、「わずかな利益の中から借り入れの返済をする。日頃から潤沢に手元の資金を抱えられる余裕などあるわけがない」と肩を落とす。

 実際に休業の影響を、1カ月の売り上げが100万円で利益率が3%の店舗で試算してみよう(下表参照)。

 売り上げが50万円に半減すると、食材原価などの負担は減少する。ただ、家賃やリース代などの固定費が重くのしかかる他、店舗を営業する以上、人件費を大きく削ることは難しい。その結果、約8カ月分の利益が吹き飛ぶ計算となるのだ。

 1カ月休業した場合はさらに悲惨な状況で、約14カ月分の営業利益が吹き飛ぶ結果となった。