【経営層・人事部門のお悩み(2)】
評価制度、労働時間…人事部門はどう対応すべきですか

Q.テレワークが当たり前になることをきっかけに、人事制度の中で変更したほうがよいものはありますか。これに関連して、「人事評価を変える必要がある」という話を見聞きすることがありますが、どういうことでしょうか。

 一口に人事部門と言っても、業種・企業によって「新型コロナ危機の渦中で非常時対応を懸命に行っている人事部門」と「未来の姿を考え始めた人事部門」に分かれている印象があります。いずれにしても、人事部門の皆さんの中で課題感が生まれているのが下記の4つのテーマです。

(1)評価制度
(2)日本版ホワイトカラーエグゼンプションなど、労働時間の考え方の見直し
(3)副業(複業)解禁
(4)理念、Visionへの共感

 この(1)~(4)は、以前から人事部門の中で課題に挙がっていたテーマです。しかし、テレワークをきっかけに、問題点がよりつまびらかになった印象があります。なぜこれらが今、クローズアップされているのか背景を具体的に見ていきましょう。

(1)評価制度

 2000年前後に成果主義という言葉とともに評価制度が導入されて以来、評価に対する不公平感が根深くあります。そうした中、テレワークの実施に伴い、セルフマネジメントができ、成果の上げられる人に仕事が集まる流れがくるのではないか、と感じている企業が出てきています。ちなみにここでいうセルフマネジメントとは、心身を健やかに保ち、自分の力を発揮できる環境を整え、ソロワークにならずに、自律的に働けることを指します(こうして書いてみると難しい内容ですね。職務内容、業務の習熟度、社内の人との関係性の影響も受けます)。

 またテレワーク下では、同じ空間で仕事をしているわけではありませんから、周囲が仕事のプロセスを確認しづらくなっています。そのため、仕事ができる人ほど、成果で判断してほしいと思い始めているのです。

 仕事をしているふりだけで、実はサボっていた人の存在をテレワークがあぶり出したという声もよく耳にします。そこで、働かない人と頑張っている人を一緒に扱ってはいけない、という考えが人事部門で生まれています。

 これらに加えて、会社全体として顧客との関係性や仕事の進め方を変えようという動きも重なり、成果の再定義や、目標設定の在り方、評価の不公平感の解消など、評価制度を見直そうという機運が高まっているのです。