コロナ騒動のピークを過ぎて考えるに、結局のところ一般病院を苦しめたのはコロナ患者そのものよりも、「感染疑い症例には防護服着用、濃厚接触者は2週間自宅待機」のような過剰ルール、コロナ発生届が象徴する「紙と印鑑と電話ファクスが基本」のアナログな保健行政システム、「ワイドショーに扇動されたコロナパニック者」への対応、「一斉休校によるスタッフ不足」、そして「患者の受診控えによる大幅減収」である。

コロナが正した医療界の無駄

 5月下旬になると、麻酔の依頼が再び増えてきた。アルコールや防護服も再び充足し始め、骨折などの手術は再開の運びとなった。しかしながら20年は事実上の遠隔診療元年となり、電話再診に慣れた患者層が再び病院に足しげく通うとは考えづらく、病院サロネーゼたちも簡単には戻らないだろう。

 すでにコロナ禍による経営破綻がささやかれている病院は少数ではなく、病院の統廃合が進めば、医師の淘汰も確実に行われるだろうし、若手医師に人気のキャリアのモデルコースだった眼科、耳鼻科、皮膚科の開業医も、患者の受診控えで苦しそうだ。

 雇い止めされたフリーランス医師も全員が再契約できるとは思えないし、横並び固定給だったのが「売上連動制」など契約変更を求められるケースも多発しそうである。一方で、骨折(整形外科)や尿管結石(泌尿器科)など治療の必要性が高い医療はダメージが少ない。

 とはいえ、意外にも「給料は減ったけれど、4~5月は人間らしい生活ができた。元に戻りたくない」と述懐する医師も多い。コロナ騒動は、不要不急の受診やコンビニ救急などによる医療費の無駄遣いや、勤務医の過重労働を解消するなど、今まで放置されてきた医療界の諸問題の解決に一役買った面もある。

 今回の騒動で顕在化した現実は、今後の若手医師の進路選択に少なくない影響を与えるだろう。(後編の#2に続きます)

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