頼りだった日産が
アテにならなくなった

 三菱自にとって頼りだった日産だったが今やゴーン氏が去り、後を次いで資本提携でも交渉相手だった西川氏もいなくなった。ましてや前述の通り、日産から三菱自の「再建の担い手」として送り込まれたグプタCOOは、19年6月に就任したばかりなのに、12月には内田日産社長CEO体制を支えるためにCOOとして日産に復帰してしまったのだ。

 2005年に三菱自社長に就任して以来、長期に渡って三菱自動車を引っ張ってきた益子氏だが、2019年6月にインドネシア現地社長だった加藤隆雄氏にCEO(最高経営責任者)を譲り、再び会長となった。もっとも、加藤CEOとともに益子会長は代表執行職であり、益子三菱自体制そのものは変わらないと見える。

 先の三菱自の株主総会では、加藤CEOが議長となり、赤字で着地している三菱自の経営・商品戦略について説明した。「2017年度からの中期経営計画では15年度比で固定費が3割も増加してしまった。メガマーケットで販売を伸ばしたものの収益性は低下した。2020年度から広範囲に渡る抜本的構造改革を進める」と日産主導でV字回復を狙った中計の反省の弁を述べた。「三菱自のコア地域をアセアンとし、ピックアップトラック・SUVをコア商品としていく」とも説明した。

 益子修三菱自動車会長は以前のアライアンス会見で、3社連合の新たな枠組みについて「コロナ影響で経営環境が変化し、社会も急速に変化している。時代・環境が変わるとアライアンスも変えていかねばならない。3社共通戦略が三菱としての視点であり、過去3年間成長戦略を追求してきたが過剰に追求し過ぎて固定費が拡大してしまった。アライアンスを効率的に機能させてリーダー・フォロワーの仕組みでできるだけ早く結果を出すことだ」と述べている。

 三菱自の株主構成を見ると、日産の34%に次いで三菱商事が20%と、かつての三菱重工に代わって益子会長の出身である三菱商事の出資比率が高くなっている。アセアン(東南アジア)の強みも三菱商事との連携が大きいし、今後も三菱商事のモビリティビジネスへの関わりが深くなりそうだ。

 3社連合の行方についても、ルノーが日産の株式を43%、日産がルノーの株式を15%、かつ三菱自動車の株式を34%保有する資本構成は3社独立の原則から見ると変則的なものだ。

 現状では3社ともに収益性回復が大前提で「統合話」どころではないが、一時、三菱商事がルノーに出資するとの動きもあったようで、健全な3社連合の方向を示すには資本構成見直しが必然であろう。

 いずれにしても、3社連合の新たな枠組みで早く成果が出なければ、3社連合の瓦解(がかい)もありうるし、特に立場の弱い三菱自動車としては生き残りのために「決別の道」もありうるのではなかろうか。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)