菅義偉官房長官記者会見をする官房長官の菅義偉。ここに来て、再選を果たした都知事の小池百合子との不協和音が表面化している Photo:JIJI

 コロナ禍での自然災害」――。日本社会が恐れていたことが現実のものとなった。熊本県南部を流れる球磨川は記録的な大雨で「暴れ川」となり、多くの人命や家屋、生活を奪った。着の身着のままで避難した住民らが身を寄せ合う避難所も、感染防止のため「3密」の回避に力点が置かれるなどこれまでとは運営が大きく異なった。災害応援で派遣された香川県高松市の男性保健師が新型コロナウイルスに感染していたことが分かり、避難住民がPCR検査を受けるという思わぬ事態も発生した。

 その一方で、豪雨災害と重なるように、7月9日から東京都の感染者は4日連続で200人を超えた。多くの専門家が「気温と湿度が高くなればウイルスの感染力は弱まるのではないか」と指摘していたのとは正反対のことが起きている。

 しかし、東京都も政府も動きが鈍い。再選を果たした東京都知事の小池百合子は感染者数の増加について「PCR検査を増やした結果」としか語らず、一向に有効な手が打てずにいる。首相の安倍晋三も根拠のない楽観的な認識を示していた。