インフレ率は低迷しているが、多くの人々はそう感じていない。これは実際、好ましいことかもしれない。米労働省が14日に発表した6月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比で0.6%上昇し、前年同月比の上昇率はわずか0.6%にとどまった。6月の上昇は主に、ガソリン価格の反発によるものだ。インフレ状況をより正確に捉えるために食品・エネルギー価格を除いたコア指数は、前月比で0.2%上昇。前年同月比の上昇率は1.2%と、2011年以来の低水準になった。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として好む、商務省がまとめる個人消費支出(PCE)価格指数は、CPIよりも低くなる傾向があり、FRBのインフレ目標の2%までの幅はさらに大きくなる可能性が大きい。危険なのは、コロナ危機が物価上昇を抑える圧力となっている状況で、低インフレが消費者心理に深く植え付けられてしまうことだ。これにより、経済がインフレを起こすのはさらに難しくなり、デフレに陥るリスクが高まる。