澤田純・NTT社長Photo by Masato Kato

1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。今回は、NTTグループの持ち株会社であるNTTの澤田純社長に2020年を予測してもらった。澤田社長は、NTTドコモが2019年に実施した携帯料金値下げの立役者とされる。楽天の参入延期で料金競争はお預けとなったが、5Gで激動が予想される20年をどう展望するか。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

2020年の通信業界は
「5Gスタート」が主要トピック

――2019年を振り返り、20年をどのように展望しますか。

 19年の通信業界は大荒れでした。改正電気通信事業法で携帯電話の販売ルールは通信と端末が分離となりました。そして第4のキャリアとして楽天が参入すると思ったら、まだ参入できていないという不可思議な状況にあります。

 NTTドコモは6月に分離プランを導入して最大4割の値下げに踏み切りましたが、値下げしない会社もあって料金競争はどうなったのかという意見もあります。ただ、よりよいサービスを出そうという競争は始まっているので、競争の号砲は鳴ったと思います。

 20年を展望すると、われわれの業界では5G(第5世代通信規格)がスタートします。東京オリンピック・パラリンピックもあるので、19年以上に変革の年になるでしょう。

 NTTとしては、グローバル事業の再編を本格化していきます。新事業の電力や不動産をどんどん拡大し、長期的な戦略に基づいた基礎研究もスタートする。かなり期待が持てる年です。

――現状のNTTグループは、携帯中心の事業構造ですが、それが変革するきっかけになりますか。

 ドコモの比率は利益で7割なので確かに大きい。国内の競争は激化しているので、ドコモ以外のポーションを増やしてポートフォリオを分散したい。だから、グローバルの組織を再編して海外事業の利益率を高め、電力事業や不動産事業を拡大し、収益源を増やしていく考えです。