1987年に登場した初代「弥生会計」から25年。この間、米インテュイットの傘下入り、MBOによる独立、ライブドアグループによる買収、投資ファンドへの株式譲渡など経営面の曲折やそれに伴う戦略転換などを重ねてきたが、「弥生」ブランドは常にPCソフト市場の一線にあり続けた。2008年から弥生株式会社の指揮を執る岡本浩一郎社長は、自らの起業家時代に「弥生会計」のユーザーだった経験と重ね合わせ、「弥生シリーズ」を核とした同社事業の再定義を進めている。この秋、同社としては最初のクラウドアプリケーションの投入によって、より広い顧客層の掘り起しを狙う。その先に目指すものは何か、同社の今後の事業戦略について岡本社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス)
顧客のニーズに向き合い、
ニーズのあるところに商品を出せば響く
――「弥生」というブランドは今年25周年を迎えました。まさに国内のPC市場に寄り添って成長してきた老舗ブランドでありながら、競争の激しい近年においても、マーケットではトップブランドを維持し、シェアも上げています。ブランドを維持していく秘訣は何でしょうか。
当社の商品のお客様がどういった方でどういったものを求めているかを常に考えることでしょう。同じことを長期間続けてやってきたのではなく、時代時代に変化するニーズに合わせてアプローチを変えてきたということです。
たとえば、一つの例ですが、「やよいの青色申告」が最近では特に伸びていますが、これは個人事業主向けに機能を限定した会計ソフトです。ビジネスとしてみると、上位製品である「弥生会計シリーズ」のほうが利幅は大きい。しかし市場のニーズとしては圧倒的に「やよいの青色申告」が伸びている。
もともと個人事業者は数として非常に多い。昨今は会社として立ち上げる人も増え、意識としても会計ソフトを使って、青色申告をきちんとしようという人が増えている。そうしたニーズがあるところにきちっと手を打っていく。