今年7月10日から「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行となり、自筆で作成した遺言書を法務局で保管してもらえるようになりました。昨今では、年齢に関係なく元気なうちに遺言書を作成する人が増えていますが、「たいして財産がない」「うちの家族は仲がいいから」という考えから、遺言書は必要ないと思っている人もまだ多いのではないでしょうか。実は、遺言書があるか否かで、残された家族の幸せは大きく左右されます。そこで今回は、行政書士・倉敷昭久氏の著書『子どもを幸せにする遺言書』(青春出版社)から、遺言書が必要な人のポイントについて、事例を交えて解説していきます。
どんな人が遺言書を作成する必要があるのか
実は、相続をめぐるトラブルは、資産家よりも一般家庭のほうがはるかに多く起こっています。「うちの家族に限って」や「うちの子たちに限ってそんなことはありえない」というのは、親の思い込みに過ぎないケースがほとんどなのです。
そんな場面を見るたびに、この争いを避ける手段はなかったのだろうかと考えます。争いが起きたところからさかのぼって考えますので、争いの原因はすぐにわかります。原因がわかれば「こうすればよかった」という対応策があったこともわかります。そして、争いのほとんどは、適正な遺言書があれば避けられたり、軽減できたであろうと思えるのです。