新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

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21世紀は「アートとデザイン」の時代

 全米トップの美術大学、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインのジョン・マエダ前学長はこういっています。

「20世紀の世界経済はサイエンスとテクノロジーが変えたが、21世紀の世界経済はアートとデザインが変える」

 実際、近年では、固定概念を壊し、自由な発想をもたらすものとして、アートがビジネスの世界でも重視されるようになっています。

 本物の芸術作品に触れると、その感動から創造力がかきたてられます。コロンビア大学芸術教育センターが行なった調査では、芸術の授業を多く受けている生徒ほど、創造力が高いことがわかっています。

 東京工芸大学のグラフィックデザイナー、福島治教授は、「アート鑑賞で右脳を刺激されることで、ふだんとは違う発想にもつながっていく」といいます。さらに、自分はどう感じたかを表現したり、他の鑑賞者の解釈を聞いたりすることで、まったく新しい発想を得ることができます。

 では、親として上手に子どもに「アート」に触れさせてあげるにはどうすればよいでしょうか?

親子で「対話型アート鑑賞法」を楽しむ

 ニューヨーク近代美術館(MoMA)で編み出された「対話型アート鑑賞法」という教育プログラムでは、15~20分かけてグループで1つの作品をじっくり鑑賞し、その後、専門の学芸員がリードしながら、作品について感じたこと、考えたことなどを話し合います。

 このプログラムは、世界各国の教育現場で採用され、とくにアメリカでは、約300の学校および約100の美術・博物館で導入されています。家族で出かけるときにも、この鑑賞法を参考にしてみるといいでしょう。

【その1】「気軽」に美術館に行く

 特別な準備や、「子どもにはまだ難しいかも」「楽しめないのでは」といった気づかいは不要です。本物を見る機会として気軽に親子で楽しもうという程度の気持ちでふらりと出かけてみます。

【その2】「お気に入りの作品」を選ぶ

 作家が誰でどんな技法で、いつの時代に描かれたかなどを知る必要はありません。むしろ、美術に関する知識を介さず、まっさらな状態で作品に向き合い、親子でお気に入りの作品を選びます。

【その3】親子で「対話」する

 次に、お気に入りの作品と向き合って、想像をふくらまします。「対話型アート鑑賞法」では、3つの問いかけをします。

・この作品の中では、どんな出来事が起きているだろう?
・作品のどこからそう思ったかな?
・他に発見したことはある?

 正解はないので、自由な発想で深く掘り下げていくことができます。また、子どもの発言がたどたどしいときには、「~ということかな」などと言い換えてあげると、子どもが自分の気持ちに気づいたり、語彙を増やすことにもつながります。

【その4】「多様な意見」を受け入れる

 福島教授は、「対話型アート鑑賞で多様な意見に出合うと『人はみんな感覚が違う』ということを体験できる」といっています。家族や友人同士で自由に発言して、多様な意見を受け入れる土壌ができてくると、新しいアイデアが生まれやすくなります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)