東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法Photo:PIXTA

「失敗学」「創造学」のエキスパートである中尾政之・東大大学院教授が、新著『東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法』の中から、アイデアのアウトプットを増やすための「思考法」を提示する。今回は、業務上のレアな失敗や、データで無視しがちな異常値にこそ「誰も気づかなかった新しいアイデアのヒント」が埋もれている可能性があるという考察。

企画書を作る際には
都合の悪いデータは無視しがち

 毎週アイデアを出し続ける人は、情報を正しく分析する時間がない。

 これに反論する方もいるだろうが、私が「アイデアマン」といわれる人たちを調査したところ、その傾向が強いことに気づいた。

 仕事で企画書を作るという人は、もちろんそのための情報収集をするだろう。「今、コーヒーが人気だ」という現象があれば、出版社の編集者は、雑誌でコーヒーの特集が好評だったり、コーヒーに関する本が売れていたり、カフェのお客さんが増えていたりというデータを集めて、「コーヒーに関する本を出せば、これくらい売れます。ですから出版するべきです」という趣旨の企画書を作る。

 しかしその過程で、不評だったコーヒーの雑誌企画や、売れていないコーヒーの本も必ず見つかる。

 どんな企画でも同じだが、下図で示したように、たいてい失敗データは「ゴミ情報」として無視し、都合のいいデータを組み合わせることで、ほとんどのアイデアは出来上がっているのである。

東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法