新型コロナウイルス感染拡大に伴う解雇・雇い止めが見込みも含め4.8万人を超えた。単純な人数では東京都や大阪府など大都市のある都道府県が上位にくるが、人口比で見るとその光景は一変する。ワーストとなったのは岐阜県。アパレル依存の地域が危機にひんしている。特集『列島明暗 都市・地方財界・名門企業』(全15回)の#3では、コロナの雇用への影響が大きい地域の現状を追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
「繊維業にコロナがとどめ」
岐阜市の業況判断DIはマイナス90.4
「繊維業にコロナがとどめを刺した。経営者が高齢化した企業はこのまま廃業だろう。自分の代で終わらせようと考えている経営者が大半だ」――。岐阜市の繊維業界の関係者はこう肩を落とす。
「衣・食・泊」の3業種に多大なダメージを与えたコロナショック。この産業に依存した地域が危機にひんしている。ダイヤモンド編集部がまとめた265都市のコロナ倒産危険業種依存度ランキングでワースト2位だった岐阜市(本特集#1『265都市「コロナ倒産危険業種依存度」ランキング!ワースト3位倉敷、2位岐阜、1位は?』参照)。コロナ倒産リスクの高いアパレル業が主軸の繊維の街が、コロナで深刻な痛手を負っている。
実際に、岐阜市の企業の苦境ぶりは、データでも浮き彫りにされている。同市の産業振興・企業誘致課がまとめた、市内の企業の景気動向を示す2020年4~6月期の業況判断DI(景気「好転」企業割合-「悪化」企業割合)はマイナス90.4で、前年同期から34.8ポイント悪化。実に9割以上の企業が景気は悪化したと考えていることが分かる。
加えて、7~9月期の見通しについての業況判断DIもマイナス80.8で、同36.3ポイント悪化。緊急事態宣言が解除されてもなお、厳しい状況に直面していることがうかがえる。
独立行政法人中小企業基盤整備機構がまとめた全国の中小企業の業況判断DIは、4~6月期がマイナス64.1で、7~9月期の見通しはマイナス40.8だ。この数字と比較しても、マイナス90.4という岐阜市の景気の悪さが伝わってくる。
景気悪化は、当然ながら地域の雇用へも多大なインパクトをもたらしている。