「秋入学問題」で一番大切なこと
わかりやすい例でいえば、大学の秋入学問題です。
日本では本当につまらない議論をしていると思っています。
今、対面授業がほぼ止まっている学校が大半の中で、誰が一番不安を抱えているかといえば、間違いなく高校3年生だと思います。
文部科学省は、「1月の大学入学試験は断固やる」といっています。
もしみなさんが高3だったら、かなり不安になりますよね。
2、3ヵ月、対面授業ができていない。
僕なら「来年から秋入学をやる」と断言します。
「全国の大学に、春入学に加えて秋入学もやらせます。だから高3のみなさん、どうぞ安心してください」と。
1年に2回受験機会があれば、焦らなくてもすみます。
そして、「中学校から高等学校については、5年くらいかけて緩やかに、コロナが終息してから秋入学に移行していきます」といえばそれですむわけです。
ところが「秋入学」といえば、小学校から大学まで一斉に秋入学に変えないといけないとみんなが短絡的、画一的に考えてしまう。
短期的な課題と中長期的な課題を時間軸で分けて考えることができない人が多いので、「小学校を秋入学にしたらこんな問題が起こる」などと反発が相次ぎ、この議論をお蔵に入れてしまう。
この秋入学の問題は、時間軸で考えられない失敗例の典型だと僕は思います。
「春入学」はとんでもない制度
長期的に見ると、春入学はとんでもない制度だと僕は考えています。
なぜか。
答えはシンプルで、日本では18歳の入学試験の時期は2~3月、厳寒期です。
カゼを引いて入試に失敗してトラウマを抱える若者もたくさんいます。
これまで日本では、春入学を高校生に強いて、厳寒期に一生を左右する受験をさせてきました。
特に、北海道や東北・日本海側の地域は寒い。大雪も降る。あまりにもかわいそうですよね。
なぜこの厳寒期に、大切な入学試験をやらせるのか。
どう考えてもおかしい。
こういう当たり前のことを考えれば、答えは明らか。春入学をやめ、グローバル基準の秋入学に移行するしかない。
でも、時間軸で考えられずに、それをいっぺんに小学校から大学までやろうとすると、今回のようなつまらない騒動になり、せっかくのチャンスを失うことになる。
ここにいる経営者のみなさんは、時間軸をきっちり分けて戦略を練るということを今後も忘れないでいただきたいと思います。
続きは次回にしましょう。
過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。