KPIで管理するだけでは
オンライン営業の成果は出ない

 さて、オンラインシステムの進化により、「沈黙時間」「頻出キーワード」などを自動的に分析するツールも出ている。これまでも「探客」→「アポ取得」→「訪問・接触」→「商談」→「受注」などをKPI(重要業績評価指標)で運用している会社では、コンバージョンレートである「アポ取得率」「訪問率・接触率」「商談率」「成約率」を分析し、受注までの先行指標としていることも多い。

 こうしたKPIは、営業マンの自己申告が頼りとなるが、数字をよく見せようとする不正も起こっている。例えば、「来店数を少なめに言うと成約率が多く見える」というような手口だ。実は、これがオンライン化でかなり「見える化」できるようになった。

 しかし、KPIの数値はあくまで数字。数字だけで営業現場を振り回しても、本当に売り上げは上がるだろうか。

 むしろ「うまくいった商談」を視聴しつつ「なぜうまくいったのか」を分析し、汎用性の高い手法をナレッジ化し、横展開すべきだろう。その結果、KPIの数値が上がれば、その手法は有効だったと証明される。つまり、「売り方」「話し方」の「科学」は「プロセス」にあり、検証結果がKPI数値になる。

 オンライン営業は、間違いなくムーブメントである。そして、これまでのリアル営業と同様に、気合も努力も根性も必要である。

 こうした時代の中で、オンラインツールをどう活用し、最大売り上げ・最大顧客評価を獲得するか。オンラインツールもしょせん、手段の一つにすぎない。ニューノーマルでは、よりオンライン化が進み、ソーシャルディスタンスはある程度取られていく。ただし、顧客との心理的ディスタンスが遠いままでは、決して売れるようにはならないのだ。

(プリンシプル住まい総研所長 上野典行)