オンライン営業を行う企業が増える今、中でも苦戦を強いられているのが「新規開拓営業」だ。こうした時代において、新規営業でも顧客と接点を持ち、ひいてはオンライン商談を通じて受注を勝ち取るにはどんな手法を採ればいいのか。IT企業や販売会社などに「虎の穴営業研修」をしているプリンシプル住まい総研の上野典行所長が、オンラインでの新規営業で成果を上げるためのワザを紹介する。
寡占化された大手企業のマーケット
一発逆転でつかむ裏ワザ
オンライン営業で、特にうまくいかないという話をよく聞くのが、大手企業への新開拓営業だ。
例えば、人事システムの新規開拓営業をする場合。提案をするにも、まずはその会社の人事制度に関する「課題意識」を聞かねばならない。
となると、中小企業なら社長一人へのヒアリングで事足りるが、大手ではそうはいかない。人事システムの選択は、どの会議で、どういうステークホルダーによって、どんな観点で行われるのか。意思決定プロセスと各人の思惑を調べる必要がある。コスト削減・セキュリティー・人材育成など、所属部署によって思惑は異なるはずだ。
そもそも大手企業は、テレマーケティングを使ってセールス電話をかけまくって、見込み客にオンラインで商談、というプロセスには乗ってこない。「売り込まれる」ことに慣れているので、現場は「そういう営業電話や営業メールは断れ」と言われている。
そんな大企業への営業に有効な手法が、シークレットウエビナー(WEBを介した極秘セミナー)だ。
大手4社程度のキーマンに直接声をかけて、「ちょっとこんなセミナーがあるのですが、話をお聞きになりませんか。講師は、この業界でこんな事をいつも言っている人間で面白いですよ。実は4社限定でやるんです」と誘う。
「え、その声がけがそもそも難しいじゃないですか。なにか最新のITシステムを使ってどうにかならないかな?」と思われるかもしれないが、相手は大手。残念ながら、そんなうまい話は転がっていない。
コロナ前から名刺交換「だけ」したのではなく、世間話をしたり、飲みに行ったりと、それなりに接点がないと、やはり大手の攻略は正直難しい。
「では、どうしたらいいの? 人脈もないんです」ということなら、取引先から紹介してもらうか、異業種交流会などで、なんとか接点を持つ。それもコロナ禍で難しいなら、大手企業を退職した人を月イチで業務委託する「顧問ビジネス」などを活用するのも一つの方法だ。