ともあれ、その人脈づくりには、かなりのど根性が必要だろう。コロナの影響でなかなか人に直接会えない今は、なんとかキーマンと接点を持つしか道はない。
なんとか実施にこぎつけられた場合、セミナーは、「基調講演」「休憩時間にシステム説明」「座談会や成功企業のスピーチ」といった流れで行うのが効果的だ。
例えば「人事システムの変更」「コンプライアンス強化」「業界の改革」といったテーマでの基調講演。テレワークでも、大手企業の社員が「そこに参加する」には、「上司の許可」が必要だ。単なるセールスセミナーでは、上司の許可は下りない。テーマの内容と質は重要になる。
さらに、ここでのポイントは「不特定多数の参加者を呼ばない」こと。オンラインセミナーはもう乱立していて、大手企業の社員ほど「そんなものには飽きて」いる。厳選した数社だけを集めて、ここだけの話をするのが大事で、後半のディスカッションでも数社だけなら改革に前向きな意見交換が可能だ。大企業も、他の企業が何をやっているのかにはとても関心が強い。この意見交換や情報交換は、彼らにとっても非常に魅力的な機会になる。
そして、この後は「リアル」でも「オンライン」でもかまわないので、丁寧に商談を進めなければならない。「新規」で「大手」は難易度が高い。「接触頻度」「顧客ヒアリング」「階層別アプローチ」が必要であり、「仕組みで、束で売れる」なんていうのは、その後の話である。こうした策を練った上での気合と努力と根性は、令和の時代にも絶対に必要である。
オンライン営業ならではの練習が必要
まずは「録画」してチェックを
さて、こうして大手との関係性が築けて商談に持ち込めたとしても、そこで失敗しては元も子もない。どのようにオンライン営業で成果を上げればよいのか。
昭和の遺物(?)の営業トレーニングとして、「ロールプレーイング(ロープレ)」がある。まあ、私が研修でやっても「みんなの前で恥をかく」ので、すこぶる評判が悪い。なにを言っても講師に切り返され、モチベーションダウンするからやめたいという声も聞く。
しかし、実はオンライン営業では、「どう話せばいいのか」という「研究」も「練習」もあまり行われていない。素振りをしないとヒットが打てないように、オンラインでの営業の練習が未熟だから、売れていない可能性がある。
まして顧客には、昭和世代の顧客もいれば、平成世代の顧客もいる。「では、資料はGoogleドライブに入れて送っておきますね」とか「この先はSlackでやり取りしませんか。メールだと前後関係がぐちゃぐちゃになるので」と、若手社員がベテラン世代の顧客に言っているかもしれない。
まず、オンライン商談は「録画」ができるので、ぜひともそれを「見て」ほしい。そして、会話の中に世代間ギャップが生まれていないか、顧客と自社で会話している量のバランスはどうか、顧客の表情はどうか、を確認したい。その上で課題があれば、改善するための対策として、オンラインロープレも必要になるだろう。