ドラッカーが考える「成果」は、売り上げとは違う次元にある4つ目の質問「われわれにとっての成果は何か?」と、5つ目の質問「われわれの計画は何か?」

ドラッカーが提示する根源的な「5つの質問」を理解する連載第5回では、4つ目の質問「われわれにとっての成果は何か?」を、さまざまな事例をもとに検討する。また、5つ目の質問「われわれの計画は何か?」について、会社、組織のミッション(使命)と働くメンバー個々の仕事との関係性を踏まえ、考える。(ドラッカー塾(R) 今給黎健一)

「ミッション(使命)」は、自社が社会に対してどのような貢献をするのか、宣言するようなものだ。貢献する対象は「顧客」であり、「顧客の価値(ニーズ)」を満たすことで、ミッションが達成される。ミッションが達成されたか否かを図る物差しは成果指標である。そして、成果と売り上げは必ずしも一致しない。

 札幌のレストランでは、「より多くのお客様に、どこよりも美味しい蟹を食べていただく」ことをミッションとして、「おまあ指数」という、売り上げ以外の成果指標を作っている。満足して帰る顧客からの言葉、「おいしかったよ」「また来るよ」「ありがとう」が成果である。

 ドラッカー塾(R)を受講した福山のステーキ懐石のレストランも、同様に顧客からの感謝の言葉を成果としてカウントしている。もし、サービスや食事に満足していなかったとしても、顧客は代金を支払うから、売り上げは成果と必ずしもイコールにならない。

 同じくドラッカー塾(R)を受講したある人材紹介会社では、転職を紹介した人に対し、後日、満足度アンケートを実施している。もし満足度が低い場合は、その売り上げを「濁った売り上げ」と呼んで改善につなげている。