>賢人100人に聞く!日本の未来#43

シェアリングエコノミーが国内で普及しつつある中、新型コロナウイルス感染拡大による衛生面への懸念から一部のサービスでは逆風が吹いている。だが、逆にコロナ禍はシェアリングエコノミー普及のきっかけになると話すのが、民泊を手掛けるAirbnb Japanの長田英知執行役員だ。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#43では、コロナ禍で起こったシェアリングを取り巻く環境の変化をシェアリングのプロが語る。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

コロナ禍はシェアリングが普及する契機に

――コロナショックがシェアリングエコノミーに与える影響についてどう考えますか。

 コロナ禍は、シェアリングが中長期的に広がっていく一つの契機になるのではないかと思っています。

 理由としては、まず、コロナ禍において、さまざまなオフラインサービスのオンライン化が非常に進んでいるということです。例えばAirbnbのような住宅を貸し出すサービスでも、予約や決済といったやりとり自体はオンラインで行います。オンラインサービスの取引や活動に対する認知度や信頼性が高まれば、オンラインを軸とするシェアリングにとってはサービスが広がっていくチャンスとなります。実際、今年5月にPwCコンサルティングが行ったシェアリングエコノミーに関する意識調査では、シェアリングエコノミーの普及を求める声などが昨年よりも高まっているという調査結果もあり、今後の拡大が期待されています。

 もう一つは、実際に新型コロナウイルスが登場していなかったとしても、日本経済や社会自体の中長期的な課題は変わっていないということです。少子高齢化問題や空き家問題、あるいは環境負荷の問題などを解決する手段としてシェアリングが果たす役割は大きく、その意味でも引き続き普及が求められていきます。

 さらにもう一つ挙げるとするならば、コロナ禍によって、人や物や場所が“多機能化”したことは、大きな変化なのではないかと思っています。