生存戦略#08Photo:huzu1959/gettyimages

不動産業界のドル箱だった首都圏のオフィスビル。これがコロナ禍で大波乱になり、「満室御礼」状態だった高賃料オフィスで空きが出始めている。特集『外資コンサル総力解明 7業界の生存戦略』(全12回)の#8では、A.T.カーニーが驚愕の未来の空室率を示す。さらにオフィスの後の新需要を全解剖する。関係者必携の業界の打撃と展望が一目で分かる「ティアシート」(B4判)付き。(構成/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

人の移動を前提とする
成長モデルに大きな転機

 21世紀の日本経済の基本戦略は、国内外の人の移動が増えることを前提としたものだった。この基本戦略が新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな修正を求められている。そして不動産業界は、この修正が最も顕著に起こる業界といえる。人が活発に移動しなくなる時代に、企業の成長領域はどう変わるのか。

(1)コロナの打撃

 不動産業界におけるコロナショックは2月、中国など海外で生産されている建築資材の一部が調達難に陥るという、サプライチェーンショックから始まった。それが次第にホテルや商業施設の稼働率低下、新築マンションなどの対面販売の休止、建設工事の停滞といった現象へと広がった。そして足元では、不動産業界のビジネスモデルを根底から変えるパラダイムシフトが起こりつつある。