新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が大規模な在宅勤務を導入した。そうした中、日立製作所や富士通など多くの日本企業が「ジョブ型雇用」へとかじを切る。ジョブ型は日本企業に定着するのか、これからの雇用はどうなるのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#45では、日本でジョブ型の概念を広めたとされる労働政策研究・研修機構労働政策研究所長の濱口桂一郎氏に話を聞いた。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
日本をジョブ型推進へと突き動かす
「90年代成果主義」の反省
人に仕事を付けるのが「メンバーシップ型」で、初めにジョブ(職務)ありきでジョブに人を付けるのが「ジョブ型」です。しかし、経団連や多くの企業の動きを見ていると、そうしたジョブ型への移行を目指しているようには到底思えません。
少なくとも「初めにジョブがある」という前提に基づけば、採用の仕方を変えないと本来の意味でのジョブ型とはいえません。ところがコロナ禍の今、新卒一括採用を本気で変えようと思っている会社がどのくらいあるでしょうか。
私には、今の状態は「成果主義」をジョブ型と言い換えているだけに見える。しかし、単に成果主義のように差をつけることをジョブ型だとするのは、完全に間違っています。