第三の変化は、人口減少(老齢化)のさらなる進展である。団塊の世代(1947~49年生まれ)が、もう少しでいわゆる後期高齢者の年齢に到達する。これらの世代の人が働かなくなってくると、現場の仕事での人手不足が顕在化する。またこれらの人たちへの介護ニーズも爆発することになる。ここにも大きな変化がある。

 このようにアフターコロナとは、コロナによる変化だけでなく、それらを超えるようなメガ変化の塊がいくつも束になって、一気に押し寄せてくる大変化時代なのである。大変化時代とは、すなわちありとあらゆる新しいビジネスチャンスが生まれてくる時代であり、そこにうまく乗れれば、自分自身も、自分のかかわるビジネスも大きく飛躍できる可能性がある。

もう過去と同じ日は戻らない
個人は“デフレーミング”せよ

 この大変化が、6600万年前に恐竜を絶滅させた隕石と同じレベルと考えるならば、恐竜が絶滅したように、前時代の勝者はそのままの形では生き残れないだろう。前時代の勝者はあまりにも、前時代の「働き方×技術×事業環境」に過剰適応しているからだ。

 しかし、会社が果たしている機能を可能な限り、要素にまで分解し、他者の機能と結びつけて再設計しなおすことができれば、会社は消えても、仕事は残るだろう。たとえ、車がなくなっても、エンジンの他への応用やエンジンを作るための各種技術はいくらでも応用が利く。コロナで小売店の店舗が減って営業マンは要らなくなるように見えるかもしれないが、営業マンの人間に対する洞察、共感力、相手の潜在的なニーズを汲み取る力自体が不要になるわけではない。

 この考え方は、東京大学大学院准教授の高木聡一郎氏の『デフレーミング戦略』に詳しいが、この時代を生き残るための優れた参考書となるだろう。うまくいけば、あなたの働いている部署が独立したり、新しく勃興してくる会社に吸収されたりすることで生き残れるかもしれないが、会社を頼って生きていくのが上策でないことは確実である。個人の提供している価値とそれを実現する能力やスキルを再度分析し、新しい文脈に置き換えて提供できるように変えていく必要がある。今までの枠組みを取り外して考え直すという、まさに「デフレーミング」によって、個人の副業、転職、独立、起業などが増えるであろう。

 コロナが終わったらすべてがもとに戻る、という可能性はゼロである。コロナが終わるという状況もないかもしれない。この大変化時代に生き残るべく、会社も個人もこれから自己を変容させながらサバイバルしなくてはならない。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)