「痛い」「怖い」というイメージを持たれがちな歯科治療。歯医者さんに行かなければと思いながら、この程度なら……と、ついつい先延ばしにしている、ということはないだろうか。しかし、見過ごしがちな小さな症状が、思わぬ大きな疾患のサインということもある。大切な永久歯を守るためにも、異常を感じたら、できるだけ早めに受診するよう心掛けたい。
歯が痛む、しみる
歯科医院に行くきっかけとして最も多いのが、「歯が痛む」「しみる」という症状が出たときだろう。
真っ先に疑われるのは虫歯。たとえ自分では虫歯が見当たらなくても、実は歯と歯の間や詰め物の下などが虫歯になっていることもある。虫歯は自然治癒することがなく、放置するとどんどん進行して、大切な歯を抜かなければならなくなることもあるので、できるだけ早く治療する必要がある。
また、痛みの原因には、虫歯以外にも次のようなさまざまな疾患がある。
●知覚過敏:歯の表面のエナメル質が傷ついたり削られたりして、象牙質が露出することで発症する。飲食物などの酸によってエナメル質が溶けたり、歯周病で歯茎の位置が下がることも原因の一つ。冷たい物を口にしたり、歯磨きでブラシが患部に当たると、キーンとしみるような鋭い痛みが起きる。
●歯髄炎:一般に歯の“神経”といわれる部分が歯髄。虫歯の進行が主な原因だが、打撲・外傷などによる損傷、歯科治療の切削による刺激、強い歯ぎしりなど、さまざまな原因で起きる。進行した歯周病により歯槽骨の吸収が起きた部分の歯茎から、細菌が侵入して発症することもある。歯髄は根管内にあるため、治療が遅れると膿がたまり、激しい痛みとともに歯茎・頬の腫れを起こす。放置すると顎の骨にまで炎症が及び、治療が困難になったり長期に及ぶ治療を要することもある。
他にも歯周病やかみ合わせのずれ、かみしめや歯ぎしり癖などでも歯痛は起きる。ひどい場合は歯が割れたりひびが入ってしまうこともある。
さらに、歯そのものには全く異常がないのに、精神的なストレスや、頭痛・肩こりなどから歯痛が起きる場合もある。ときには内臓疾患などによって歯が痛くなることも。このような痛みを関連痛(または連関痛)といい、歯の痛みをきっかけに、思わぬ内科的疾患が見つかることもある。まずは受診してみることだ。