アベノミクス#6
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安倍前政権の「異形の政策」に対する評価は分かれている。富める者がより豊かになれば貧しい者にも富が滴り落ちるという「トリクルダウン理論」についてもそうだ。特集『アベノミクス 継承に値するのか』の#6では、データや事実を基に、アベノミクスを支えていたこの理論を検証した。見えてきたのは理論とは異なる「アベノミクスの実相」だ。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

アベノミクスが掲げたトリクルダウン理論
「富の滴」は中小企業・低中所得層に届いたか

 アベノミクスの下での円安、株高が大手企業の輸出や投資を増やし、景気拡大をけん引したといわれる。

 富める者がより豊かになれば、「富の滴」が従業員や中小企業、低中所得層にも浸透する――。そんな新自由主義を代表する考え方「トリクルダウン理論」がアベノミクスの支えになっていた。

 では、実際にはどうだったのだろうか。

円安転換は民主党政権から
円換算で業績膨らませた“効果”

 安倍政権発足時(2012年12月26日)のドル円の為替レートは1ドル=85円36銭(午後5時時点)、日経平均株価(終値)は1万0230円36銭。それが政権の最後の日(20年9月15日)は、それぞれ105円74銭、2万3454円89銭だった。