アベノミクスは、3本の矢に始まりさまざまなキャッチフレーズと数値目標を掲げた。7年8カ月と史上最長となった安倍政権だが、達成できた数値目標は多くない。特集『アベノミクス 継承に値するのか』の#8では、多岐にわたるアベノミクスの目標達成度を検証してみた。数値目標を中心に未達成の項目が多く、看板倒れのそしりは免れない。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
異次元緩和をさらに強化しても
達成できなかった物価上昇率2%
JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは、2012年12月から20年8月までの7年8カ月のアベノミクスを振り返り、「数値目標の多くが未達成」と語る。
鵜飼氏が作成したアベノミクスにおける各分野の目標と達成度合いを評価した表(次ページ参照)を見ると、消費者物価上昇率2%、実質GDP(国内総生産)成長率2%、名目GDP600兆円、出生率(合計特殊出生率)1.8など数値目標の多くは看板倒れに終わっている。
一方、「数値目標のない分野で評価できるものがある」と鵜飼氏は言う。それはコーポレートガバナンス(企業統治)と多国間の貿易協定だ。
史上最長の政権は何を残し、何を残せなかったのか。識者の間でも見方は分かれる。そこで結果を分析しやすい、数値目標を中心に多岐にわたるアベノミクスの各分野の目標達成度を検証していこう。