財務省
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アベノミクスが掲げた「3本の矢」のうちで「第2の矢」だった「機動的な財政政策」は、「デフレ脱却」と「財政健全化」の間で揺れた。成長でその両方を解決しようという「上げ潮路線」を基調に突き進んだが、コロナ禍で失速した。特集『アベノミクス 継承に値するのか』の#10では、戦後2番目の長さの景気拡大を支えた財政政策のコストを検証する。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

「デフレ脱却」と「財政健全化」で
揺れ動いた財政運営

 異次元金融緩和による国債買い入れと超低金利が財政出動を支えた“もたれ合い”は限界にきている。マクロ政策はコロナ終息後、まさに修羅場を迎える。

 デフレ脱却や経済再生のために財政政策を活用し、それで財政赤字が増えてもやむを得ないのか。それとも財政健全化目標を達成するために着実に財政赤字を減らしていくのか――。二つの路線の間で安倍政権は揺れ動いた。

 政権発足直後の2013年1月には「国土強靭化」などを名目に公共事業を中心とした13兆円の大型補正予算が組まれるなど、積極財政が演出された。

 だがその後は歳出の伸びは抑えられ、補正予算などの規模も小粒になっていく。財政を通じて市中に供給された資金は、対国内総生産(GDP)比で見ると、12年度の8%強(40兆円)から17年度には3%以下(11兆円)まで縮小した。

 この間、財政健全化の指標である基礎的財政収支(PB)も改善した。異次元緩和による円高、株安の効果で企業業績が回復して税収が増えたことや、民主党政権時代の「3党合意」による消費増税(5%→8%)が14年4月に行われたことなどが背景にある。