アベノミクス#5
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アベノミクスは経済成長が全てを解決するかのような「高度成長・昭和」の時代の発想の延長だった。特集『アベノミクス 継承に値するのか』の#5では、時代とズレた拡大・産業政策により、巨額の政府債務と負担の先送りという二つのツケを将来世代に残した点を検証する。(京都大学こころの未来研究センター教授 広井良典)

アベノミクスの思考は
「経済成長で全ての問題が解決」という発想

「ポスト安倍」という表現がある。それは、安倍晋三氏の次の首相あるいは政権といった意味だったが、菅義偉新政権が「アベノミクスの継承」を掲げる中で、むしろ菅政権の次の政権が本来の意味での「ポスト安倍」ということになる可能性がある。

 なぜ「ポスト安倍」という点にここでこだわるかといえば、「ポスト安倍」という言葉やその概念にはもっと深い、ある意味で戦後日本の「これまで」と「これから」を分かつような内容が含まれていると考えるからだ。

「安倍時代」の基調を成したのは、「経済成長が全ての問題を解決してくれる」という発想に集約される、高度成長期の日本をそのまま延長したような思考だったといえる。

異次元緩和の金融主導から
「日本株式会社」の再来目指す

 菅首相が新政権の基本スタンスとして言及している「経済成長なくして財政再建なし」というフレーズも、アベノミクスの発想を多少婉曲的に述べたものにすぎない。