井上 まさにそうですよね。経営学でも、「企業戦略のトレンドは、有料からフリー(無料)へ変化していく」と、かなり前から言われています。技術進歩でデジタル化が進むほど、情報材はネット上に流通しやすくなる。すると消費者は無料で大量の情報に触れることが当たり前になる。今まで本を買わないと触れられなかった情報を、全部手元のインターネットで、タダで読める。「情報=有料」が当たり前でなくなってきていますよね。この変化もコロナで加速していますね。

平田 そうですね。売れる製品を開発する際、昔は消費者の生活様式をベースにして考えていました。それが、今や情報技術がベースになっています。消費者が閲覧しているインターネットサイトや、動画コンテンツなど膨大なデータを眺めることで、消費者それぞれの行動が理解されてきています。企業と消費者の距離感が刻々と変わっていますよね。だからこそ、企業がサービスや製品を開発するなかで、より消費者と心を通わせる工夫が必要です。

井上 なるほど。「企業の利潤のために利用されてる」という感覚では、消費者はその企業を信頼できませんよね。

平田 そうそう。逆に、消費者が「企業と一緒に製品やビジネスを育てている」という感覚になれば、そのビジネスは成功します。ビジネスの成功という共通目標に向かって、力を貸しあう感覚です。つまり、企業が消費者を牽引していくのではなく、消費者が企業と一緒に、市場を牽引しているようなイメージですね。