並行して求められるのがチェンジマネジメントです。新たな挑戦には試行錯誤がつきものです。ミッションをやりきることで、何が正解で、何が不正解かが見えてきます。商品・サービス、顧客ターゲット、KPIや営業活動のプロセスを改善しながら最適化し、価値を磨いていくマネジメントです。このチェンジマネジメントを進めるためには、仮説検証シナリオを設計し、PDCAを回すための役割設計や、営業と開発の連携が必要になってきます。マネジャーの個人力任せでなく、組織全体での対応が重要になります。

「勝ちパターン(価値×提供プロセス)の設定→推進→チェンジ…」を繰り返して進化・発展させることが「アジャイル推進」であり、リクルートでは「ぐるぐる図」と呼んでいます。

組織運営は「管理・統率型」から「自律・共創型」へ

 テレワークが普及するコロナ禍で注目が高まっているのが「ジョブ型マネジメント」です。メンバーが一緒に職場で働いているときは、目的・ゴールや評価基準は曖昧なままとりあえず仕事をふり、思うように動いていなかったら逐一指導をすることも出来ました。しかし、そのようなスタイルは、テレワークでは通用しないことはもちろん、メンバーは主体性を持って創意・工夫をすることが難しく、上司の指示待ちや、顔色を伺いながら仕事を進める風土を生み出しがちです。

 一方、VUCA時代では、メンバーの「自律」「共創」が重要視される中で、アサイン時に目的・ゴール、評価基準を明確に伝える一方で、やり方はメンバーに任せ、創意・工夫を引き出す必要があります。また、直接仕事ぶりが見えない中でも、仕事の状況(キャパシティや進捗)を見える化し、明確な基準を持ってプロセスに介入し、必要なサポートを行うプロセスマネジメントも合わせて重要になります。これが「ジョブ型マネジメント」に注目が集まっている背景です。そこにコロナが到来し、非対面での協働やマネジメント機会が増える中、その緊急度・重要度が一気に高まっている状況です。

 もうひとつの大事なテーマが「共創」です。組織で共創を起こすには、さまざまなアイデアや違う観点が必要になります。そこで重要になるのが、「多様な価値観のコラボレーション」です。かつては単一カルチャーでトップダウンのもと動く組織が比較的多くありました。しかし、昨今は、年齢、性別、国籍、生い立ち、価値観が多様化し、納得しないと動かないメンバーが多くなってきています。

 だからこそ大事になるのが、「チームビルディング」です。チームビルディングの出発点は相互理解です。価値観や意見の食い違いは互いの生い立ちや経験の違いから来ることが多いです。まずはそれぞれのメンバーの入社動機や実現したいこと、これまでの経験など、価値観やこだわりの前提を理解し合うことがコラボレーションを加速させる第一歩です。