【著者からのメッセージ】

著者:弘兼憲史
価格:1,300円+税
発行年月:2020年11月17日
判型/ページ数:B6判並製/232ページ
ISBN:978-4478109670
人は人、自分は自分でいいじゃない。
◎老人の上機嫌ほど美しいものはない。
戦後すぐの第1次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた僕と同年代の「団塊の世代」が、いよいよ70代に突入しました。
2025年になれば全員が後期高齢者(75歳)の年齢に達します。
僕は『黄昏流星群』という作品で、中高年の恋愛を中心とする人間模様を描きましたが、そろそろ「黄昏」も過ぎ、本格的にゴールを意識する時間帯に入ったという感じでしょうか。
「ゴール」とは、いうまでもなく旅立ち、「死」にほかなりません。
誰もが逃れようのない死という終着点に向かって、日々待ったなしで歩みを続けている。
そのことは前々から理屈の上でわかっていたのですが、40代や50代の頃は、まだ死をどこか他人事ととらえていたような節がありました。
ところが60代を迎えた頃、闘病生活を送っていた友人や知人の訃報を耳にする機会が増えるにつれ、死がだんだん身近なものに感じられるようになってきました。
「他人事じゃない、明日は我が身だ」
そう自分にいい聞かせる一方、具体的な準備はというと、なおざりになっていました。
やはりどこかで元気な自分に自信があったのかもしれません。
70代の階段を一歩ずつ上り始めた今、長期的な計画を立てて何かを進めていくような右肩上がりの生き方とは違う、もっと別の生き方を求めようとする気持ちが強くなっています。
「残された時間で自分に何ができるか」
「誰とどのように暮らすのが本当の幸せなのか」
「どこでどういう状態で最期を迎えるのか」
そういった問題に向き合い、一つひとつ納得できる答えを見つけていく時期に来ているような気がしてなりません。
「起承転結」でいえば、「結」のストーリーを描くことが求められている。
そんな感覚です。
死を現実のものとして感じているのは、年齢的な理由だけでなく、昨今の社会情勢によるところも大きいです。
2011年には東日本大震災が発生し、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を経験するなど、僕たちは「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにしています。
果たして僕があとどれくらい生きるのか、確実なことなんてわかりません。
ただ、いつ死ぬかわからないからといって、怯えてばかりいても仕方がないのです。
いつ死ぬかわからないと自覚したうえで、今を大切に生きるしかありません。
今、この瞬間を生きているという事実に感謝しつつ、1秒1秒を噛みしめ、人生を味わい尽くしたいのです。
『死ぬまで上機嫌。』で僕は、団塊の世代の「死に様」について、テーマごとに思うところを語っています。
自分にとって理想の死に方を考えることは大事ですが、思った通りにならないのも、また人生でしょう。
望んでいたのとは違う事態に直面することも、きっとあるはずです。
どんな状況を目の当たりにしても「まあ、これでいい」「こういうこともあるだろう」と鷹揚に受け入れられる自分でいたい。そして、死ぬまで上機嫌でいたい。
「そのとき」が来るまで、読者のみなさんが存分に人生を全うされるヒントを『死ぬまで上機嫌。』で語っています。
弘兼憲史
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