経済・貿易制裁はドナルド・トランプ米政権が最も多用する外交手段となった。今回の大統領選で民主党候補ジョー・バイデン氏が当選しても、そうした状況が変わる可能性は低そうだ。ただ、新型コロナウイルスの感染流行と経済への影響が選挙期間を通して注目を集める中、バイデン氏は米国の制裁体制に関する具体的な計画にほとんど言及していない。このため同氏が副大統領を務めたオバマ政権で導入された制裁措置に手掛かりを探す向きが多い。法律事務所ギブソン・ダン・アンド・クラッチャーのパートナー、アリソン・リー氏は「制裁が外交政策の主な手段になると想定される」と語る。「非常に依存性が高い手段だ。いかなる政権も、いったんそれを使い始め、一方的手段の威力と制裁の即効力を目の当たりにすると、自制するのは極めて難しい」。同氏の法律事務所は制裁と順守の問題について企業に助言している。