いかほ秀水園の研修風景
いかほ秀水園の研修風景 写真提供:一般社団法人日本環境保健機構

日本の避難所がイタリアなどの国々と比べて環境が悪いことは、東日本大震災の頃から大きな問題になってきた。復興庁によると、大震災では3647人が関連死と認定されている。そこで、政府は「主として高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(要配慮者)」を滞在させるための「福祉避難所」確保に動いてきた。折しも、11月5日は「津波防災の日」。東日本大震災の教訓から生まれた「借り上げ福祉避難所」の現状や課題などを取材した。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

東日本大震災の教訓から生まれた
「借り上げ福祉避難所」

「瞬間最大風速75メートル、過去最強クラスで日本に接近・上陸し、甚大な台風被害の恐れがある」――今年9月に発生した台風10号では、日本に接近する4日も前から政府が異例の“特別警報級”の警戒を呼び掛けた。

 2019年、千葉県に未曽有の被害をもたらした台風15号の最大瞬間風速は57.5メートル、つづく台風19号の神奈川県における最大瞬間風速は43.8メートルだった。それであれだけの被害が出たのだから、最大風速75メートルともなれば一体どれほどの巨大災害が引き起こされるのか――危険を感じた多くの住民が自治体の避難所に向かう中、別の避難先として注目されたのがホテルなどの宿泊施設だ。

 予想進路に該当する九州全域の宿泊施設には早くから「自費避難」を希望する宿泊予約が相次ぎ、満室になったところも少なくなかったようだ。中には「Go Toトラベル」を利用した人もいたという。